1926年、ナポリの陶芸家の息子として誕生したジョゼッペ・ピッコーネは幼い時から父の工房に出入りし、その後を継ぐこととなりました。
敬虔なカソリック信者の多いナポリでは、聖職者が職業を持つことも多く、工房でも多くの司祭が働いていました。その司祭のひとり、ニックネーム “Archivio”が、ジュゼッペのモチーフになります。その後、ナポリ湾に浮かぶイスキア島に、独自の陶芸工房を開き、陶芸に専念しました。イスキアはローマ時代から温泉の島として愛されてきた南イタリアの豊かな自然を持つ島で、ジョゼッペの創作に大きな影響を与えました。
繊細な磁器とは違う素朴で温かみを感じさせる陶器に、太陽が降り注ぐ、明るい南イタリアを感じさせる色使いで絵付けをしたオリジナリティ溢れるジョゼッペの世界を創り上げました。
彼の顧客であったテキスタイルデザイナーからイラストを生地にプリントすることを勧められたことが、ジュゼッペ・ピッコーネのファッションビジネスへの第一歩になります。
1960年、本拠地をローマに移し、フラッグシップショップをオープンさせました。
その後モディット(プレタポルテ見本市)に出展しました。
Archivioをモティーフに使った楽しい絵柄をハンドプリントしたTシャツやリゾートドレスが評判になり、陶器やホームテキスタイルを含めて展開するコレクションは瞬く間にニース、モナコなどのリゾート地をはじめ、欧州各地に展開され、その後、日本に導入されて現在に至ります。
このようにピッコーネのオリジナルコレクションは、陶器から始まり生活に根差しているものでした。
生活をより豊かにし、人生を楽しむためのアイテムの数々で構成されたものであり、この思想は現在のコレクションにも脈々と受け継がれています。